5月は高麗芝や野芝にとって非常に重要な時期です。
この時期の芝生管理は、単に見た目を整えるだけでなく、夏の高温多湿や梅雨の長雨に負けない強い芝生を育成するための基盤を作ります。
本記事では、5月の芝生手入れのポイントについて、より詳しく丁寧に解説していきます。
ぜひこのガイドを参考にして、年間を通じて美しい芝生を育てましょう。
5月の芝生の状態を正しく理解
5月に入ると、高麗芝や野芝は春の芽吹きを経て一気に成長が加速します。
緑が一段と濃くなり、葉の伸びも活発になるため、芝生の密度が増し、美しいカーペット状の景観を形成し始めます。
しかし、成長は一様ではなく、日当たりや土壌の状態、水はけの良し悪しによって成長ムラが生じることもあります。
このため、芝生の様子を細かく観察し、場所ごとに最適な管理を行う柔軟な対応が求められます。
5月の芝刈りは頻度と高さがカギ

芝刈りは5月の芝生管理で最も重要な作業のひとつです。
推奨される芝刈りの頻度は、7日から14日に1回程度を目安にしましょう。
成長速度が速いため、放置すると葉が伸びすぎてしまい、芝生の美観や健康を損ねる原因になります。
刈り高は25mmから35mmを目安に設定します。
一度に芝を刈りすぎるとストレスがかかるため、1/3ルールを守り、段階的に調整することが重要です。
また、刈る方向を毎回変えることで芝の倒れや偏りを防ぎ、均一で密な芝生を育てることができます。
5月の水やりは根を鍛える意識で

5月の水やりは「乾いたらたっぷり」が基本です。
頻繁に少量ずつ水を与えるのではなく、土壌の深部までしっかりと浸透する量を一度に与えましょう。
これにより、芝生の根が深く伸び、夏の高温乾燥や梅雨の長雨にも耐えられる強い根系が育ちます。
水やりの最適な時間帯は早朝です。
日中や夜間の水やりは病気のリスクを高めるため、避けましょう。
特に梅雨入りが近づく5月下旬には、水やりの頻度を控えめにして、過湿による根腐れを防ぐことも大切です。
5月の施肥は成長を支える栄養補給
5月は芝生が最も栄養を必要とする成長期です。緩効性肥料を中心に使用し、窒素・リン酸・カリウムのバランスが取れた施肥を心がけましょう。
成分 | 役割 |
---|---|
窒素(N) | 葉の成長を促進 |
リン酸(P) | 根の発達を助ける |
カリウム(K) | 細胞を強化し病害虫への耐性を高める |
特に5月下旬には梅雨を見据え、窒素の過剰供給を避け、カリウムを重視する施肥計画に切り替えることで、病気に強く、湿害に負けない芝生を育成することが可能になります。
雑草と病害虫対策は早期対応が肝心

5月は芝生と同様に雑草も勢いを増す時期です。
雑草は放置すると急速に繁茂し、芝生との養分や水分の競合を引き起こします。
特にメヒシバやシロツメクサなどは早期発見と対策が重要です。
小さいうちに手で取り除く、あるいは芝生用の選択性除草剤を活用するなど、早めの対策が効果的です。
同時に、ラージパッチ、赤さび病、コガネムシ類幼虫などの病害虫も活動を始めるため、こまめな観察と早期対応を心がけましょう。
エアレーションとサッチングで土壌環境を整える

土壌の固結やサッチ層の蓄積は、芝生の生育を妨げ、特に梅雨期の過湿によるトラブルの原因となります。
5月はエアレーションやサッチングを行う絶好の機会です。
エアレーションで土壌の通気性と排水性を改善し、サッチングで堆積した有機物を取り除くことで、芝生の根が健康に育つ環境を整えることができます。
これらの作業を5月中に計画的に実施し、梅雨期の病害リスクを大幅に低減しましょう。
目土作業で芝生の質をさらに高める
目土作業は必須ではありませんが、芝生の質を大きく向上させるために非常に有効です。
5月は芝生の成長が活発な時期であり、目土を施すことで表面の凹凸を整え、ほふく茎の発根を促進する効果が期待できます。
目土は薄く均一に撒き、緑の葉が隠れない程度に留めることが重要です。
厚さは最大でも5mm程度に抑えましょう。
過剰な目土は芝生を傷める原因となるため、適量を守りながら丁寧に作業を進めましょう。
まとめ
5月の芝生管理は、年間を通じた芝生の健康と美しさを大きく左右する大切なステップです。
芝刈りでは適切な頻度と高さを守り、水やりでは深い根張りを意識し、施肥では成長に必要な栄養をバランスよく補給します。
雑草と病害虫の対策を怠らず、土壌環境を改善するエアレーションやサッチング、さらに目土作業まで取り入れることで、夏の乾燥や梅雨の過湿にも負けない強い芝生を育てることができるでしょう。
日々の観察と細やかな対応を続けることで、芝生は確実に応えてくれます。
5月は、そのスタートラインです。
今この時期にできる最善の手入れを行い、真夏に緑のじゅうたんを楽しむ準備を整えましょう。