今回は次のような人のために、田舎で起業するときに知っておくべきことをまとめましたのでご紹介します。

田舎で起業する人が増えている理由
近年、田舎に移住し、起業する人が増えています。
地元に戻るUターンが増加しているだけでなく、都会出身者があえて地方に移住するIターンで田舎起業する人たちも増えています。
田舎での起業が増えている理由として、国策である地方創生や働き方改革が進んでいることがあげられます。
また、地方でもITや物流などのインフラが発達していることで様々なビジネスが可能となったことも増えた理由にあげられます。

田舎起業のメリット
田舎起業をすることにより得られるメリットは多数あります。
その中でも特に大きなメリットとして、以下の5点が挙げられます。
開業費用が抑えられる
実店舗や事務所を構えて事業を行う場合、都会と比べて田舎は土地代や不動産代が安いため、開業資金を安く済ませることが出来ます。
田舎では都会の半分以下の金額で同規模の物件を賃貸することも可能です。
また地域にもよりますが、過疎化が進む地方では空き家プロジェクトなども行われており、一軒家をほぼ無料で借りられるケースも珍しくありません。
運営資金を抑えやすい
田舎起業では開業資金に加えて、運営資金も抑えやすいなります。
例えば、先程も紹介したような空き家プロジェクトなどでほぼ無料で一軒家を借りられたら毎月かかる家賃が抑えられます。
ガスや電気の料金については都会とあまり変わらないことが多いですが、水道費に関しては、地域によって井戸水を活用しているところもあり、年間1万円程度の費用で使い放題という地域もあります。
地域の直売所や農家さんから食材を安く仕入れることが出来ると材料費が抑えられます。
会社を運営する上で毎月必要な固定費を安く抑えられるということはかなり大きなメリットと言えるでしょう。
競合他社が限られている
田舎起業をする際に競合する他社が少ないことがメリットのひとつとして挙げられます。
大規模な飲食チェーンや大手企業が運営するスクールなども田舎ではその店舗数が少なくなります。
例えば、美容室が1軒もない地域に新たに美容室を開業すれば、その地域で唯一の美容室として注目を集めることが出来ます。
田舎では、なかなか欲しい商品や望んでいるサービスが近くにないという環境も珍しくありません。
その地域にまだない必要な事業は何なのかを考え、起業することが地域に受け入れられるひとつの方法になります。
口コミで話題になりやすい
田舎には積極的な宣伝活動をしなくても口コミで広まりやすい特徴があります。
喫茶店のような目に付きやすい事業を運営する場合は、「新しいお店は喫茶店らしい」などといつの間にか話題になっていることが珍しくありません。
口コミでは良いことも悪いことも広まります。普段の行動から十分に気を付ける必要があります。
補助金や助成金を使いやすい
地方での田舎暮らしには、さまざまな補助金や助成金が用意されています。
補助金や助成金の種類や内容、金額は地方自治体によってまちまちです。
起業するのに店舗の改装が必要な際「新規開業店舗の改装費用」として助成金を出してくれる自治体もあります。
田舎に移住するときは「転入奨励金」や「移住資金」など引っ越しにかかるお金の補助から、「家賃補助」や「新築住宅購入奨励金」など家を買ったり借りるのに必要なお金まで補助されることがあります。
しっかり調べて有効的に活用することが望ましいです。

田舎起業のデメリット
田舎起業をすることにより得られるメリットもあれば、田舎起業だからこそ生じるデメリットもあります。
代表的なデメリットとしては以下の3点が挙げられます。
都会と比べて人口が少ない
田舎は基本的に人口は少ないです。
そのため地域住民をターゲットにする場合は、たくさんのお客様に訪れてもらい、たくさん消費してもらうようなイメージは持たないほうがよいでしょう。
薄利多売の店舗型という経営スタイルは、田舎には不向きになります。
観光地に近いならば、観光客もターゲットになるお店を考えた方が良いでしょう。
また、インターネットやSNSを活用して商品を全国へ販売するのであれば、田舎に住みながら高い売り上げと収益を目指すことも可能です。
車の維持費ががかかる
田舎では交通の便が悪く、車がなければ生活できない地域もたくさんあります。
交通の便が悪い地域に住む場合は、必然的にガソリン代や維持費などがかかります。
また、普通免許がない方は免許を取りに行かなければなりませんし、車がない方は車を購入する必要があります。
その辺りの出費は計算に入れておいた方が良いでしょう。
インターネット環境を整える必要があることも
インターネットのアクセスが悪い田舎はまだまだあります。
ビジネスに最低限必要なインターネット環境が整っているか事前に確認しましょう。
都会であれば基本的にどこでもポケットWi-Fiが使えますが、周囲が山に囲まれた山間部の田舎などでは利用できないケースが少なくありません。
インターネット環境が整っていない場合は新たに回線を引く費用として数万円の工事費は考えておいた方が良いでしょう。

成功のポイント
田舎起業を成功させるために最低限抑えておかなければならないポイントを3つ挙げていきます。
好きなことを軸にする
田舎起業に限ったことではありませんが、ビジネスで成功したい、好きな仕事で生活したいのであれば、「自分の好きなことを軸にすること」をおすすめします。
いろいろなことを強制される会社員から離れて自分で起業するのですから、自分が積極的に行動を起こすためにも、その仕事は自分が好きでなければ続きません。
「自ら考え、自ら動き、自ら成果を残す」を繰り返す日々になります。
「儲かりそう」とか「簡単そう」とか、安易な気持ちでの起業は失敗を招きやすくなります。
困難を乗り越えるのはやはり「その仕事が好きだ」と言う気持ちであったり、「自分がやらないと」って言う使命感になります。
田舎で起業を成功させたいのであれば、自分の好きを明確にし、その好きをビジネス化する意識が大切です。
地元の人に受け入れられること
田舎で成功したいのであれば、地元の人に受け入れられるように頑張りましょう。
田舎は都会と違って排他的な部分もありますが、逆にいえば、受け入れられた人にはめちゃくちゃ応援的です。
特に店舗経営をするのであれば、お客さんは地元の人がメインターゲットになります。
地元の人にリピーターになってもらうことで成功に近づけます。
少し気苦労することもあるかもしれませんが、成功に近づくためには、努力すべき点といえるでしょう。
また、知り合いが一切いない土地で起業する場合は、自身が怪しい人物ではないことを分かってもらうことから始めなければなりません。
地域のイベントに参加するなど積極的に行動を起こして、受け入れてもらえるように努力しましょう。
誠実に地元の人と交流を深めることで信頼できる関係性を築くことができれば、色んな面で協力してもらえる強い味方になってくれます。
田舎ならではの強み、その地域ならではの強みを見つけること
田舎ならではの強み、その地域ならではの強みを見つけるのも、成功するポイントの1つです。
長年その地域に住み続けている地元の人にとっては当たり前のことで気付かれていない魅力がまだまだ田舎にはあります。
移り住んできた者だからこそ、その魅力に気付き、勝負できるコンテンツにすることが出来れば、田舎でも新たな分野を開ける可能性が出てきます。
さらに、その地域ならではの物を発掘し、ブランド化することができれば、地元の人だけでなく遠方からも人を集めることができます。
インターネット環境を整え、SNSなどを使ってその魅力を発信すれば、ファンは必ず出てくるはずです。
その地域ならではの本来の魅力や可能性をしっかりと調べ上げ、人とは異なる視点から見ていくことが大切です。
実は田舎ほど起業の種は豊富なのかもしれません。

失敗のポイント
田舎起業で失敗する人がやってしまいがちなポイントを3つ挙げていきます。
失敗しないためにも、まずはこの3つをしないようにしましょう。
ビジネス設計をせずに始めてしまう
最も失敗しやすいのが、ビジネス設計をせずに起業することです。
ビジネスには勢いが大切です。しかし、無計画では続きません。
- どうすればお客さんが集まるか?
- 商品の価格はいくらが適切なのか?
- 高い値段でもお客さんに買ってもらうにはどうすれば良いか?
など、事前に考えることはたくさんあります。
もしあなたがこれから田舎で起業したいのであれば、まずはビジネス設計を具体的に計画することから始めましょう。
最初から大きく始めてしまう
最初から大きく始めてしまう人も失敗しやすいです。
例えば、「喫茶店を開きたい!」といって経験の乏しい人が大きな店舗をいきなり借りたらどうなるでしょうか。
毎月高い家賃を支払う必要がありますよね。
最初からお客さんがどんどん来てくれたら良いですが、もし少しでも集客に失敗した場合、どんどん赤字になっていきます。
つまり、大きく始めれば始めるほど、リスクも大きくなるのです。
これはどんな職業でも同じで、機材の購入やサイト制作にもいえることです。
最初から上手くいくと思い込みお金をかけすぎてしまうと、いざやってみて思った通りに行かなかったときのダメージは大きくなります。
ですので、最初はできるだけ小さく始めることが大切です。
実際に仕事をやって行きながら、徐々に規模を大きくしていけばいいのです。
最初から目標を高く設定せず、小さな目標をクリアしながらどんどん成長させていけば将来的には立派な起業になっていけます。
起業後も地域に馴染まない
田舎起業したいと考えている人の中にも、地元出身でない人の方が多いのではないでしょうか。
もしあなたが、地元出身者でないならば、まずは地域に馴染むことから始めましょう。
つまり、地元の人に受け入れられることを目指すのです。
特に店舗経営の場合は、地元の人の評判が非常に重要。
起業後地元の人と仲良くなれれば、お客さんにもなってもらえるし、困ったときは助けてくれます。
移住後すぐに起業をしたとしても、地域のイベントに参加したり、ボランティアをしたりして、地域に馴染むことが大切です。

田舎起業におすすめの業種
ここでは、田舎起業におすすめの業種を紹介させていただきます。
移動販売
田舎では、食料品や日用品など、生活必需品の買い物が困難な状況に置かれている人が増えてきています。
こうした状況のなか、需要が高まりつつあるのが「移動販売」です。
有名なところでは、食品や生活必需品を販売する「移動スーパー」
調理設備を兼ね備えた車両で食品を提供する「キッチンカー」
車内にシャンプー台やカット用の椅子などを設置した「移動美容室」などが挙げられます。
その地域に「なくてはならない存在」となることができれば十分勝負の出来る仕事になります。
飲食店経営
「初期費用や運営資金を抑えたい」「人とコミュニケーションを取るのが好き」といった人におすすめなのが飲食店経営です。
土地代が安い地方では、出店コストを抑えられます。
また、田舎で飲食店経営を目指す場合は「リピート率」がとても大切な指標となります。
リピート率を上げるためには、まずはその地域に受け入れられ、地域住民から愛されるお店作りを目指していきましょう。
地元の食材を使ったり、面白い企画を立てたりして、独自のサービスを提供し地域で長く愛されるお店になっていくことが期待できます。
自宅サロン経営
自宅サロン経営も田舎での起業でおすすめの業種となります。
鍼灸や整体、ネイルやエステ、料理教室やフラワーアレンジメントなど内容は様々ですので、自分の特徴やスキルに見合ったものをサービスとして提供する必要があります。
競合の少ない田舎での自宅サロン経営は、見込み客を計算しやすく軌道に乗ってしまえば独り勝ち状態をつくることも可能です。
地域住民のニーズを理解しサービスに反映させ、適切な宣伝集客をおこなうことが出来れば、起業後の成功確率を高めることが可能と言えます。
IT関係
IT関係の業種も田舎の起業ではおすすめと言えます。
インターネットとパソコンやスマホさえあれば基本的に場所を問わないという点がIT関係がおすすめの理由です。
インターネット環境だけは事前に確認し、場合によっては初期費用を計算しなくてはなりませんが、総合的に考えれば必要な投資と割り切って捉える価値はあるのではないでしょうか。
田舎暮らしへの強い憧れや理由などがあり、田舎へ移住することが目的の人にはおすすめの業種と言えます。
農業
田舎ならではの起業として挙げられるのが農業です。
都会ではやりたくても広い土地がなく、難しい側面がありますが、田舎には広い土地があり本格的に農業をすることも可能です。
しかも、田舎では移住者が就農するための手厚い補助や支援が多数設けられております。
起業するうえで充実したサポートが受けられるという点は大きなメリットとなります。
例えば、国からの支援には就農直後の経営確立を支援する資金「農業次世代人材投資資金」
新規就農者を対象にした実質無担保・無保証人の無利子融資「青年等就農資金」があります。
そのほかにも、各自治体が主導で設けている支援やJAグループが独自に設けている支援などがあるので、気になる人はぜひ各HPなどから細かい条件などをチェックしてみてください。
ただし、農業で生計を立てるとなると知識やノウハウが必要になることは理解しておかなければなりません。
その土地に精通している地方自治体や農業団体などの情報なども調べて関わり合いながらスタートすると良いでしょう。

まとめ
- 開業費用が抑えられる
- 運営資金を抑えやすい
- 競合が限られている
- 口コミで話題になりやすい
- 補助金や助成金を使いやすい
- 都会と比べて人口が少ない
- 車の維持費がかかる
- インターネット環境を整える必要がある
- 好きなことを軸にする
- 地元の人に受け入れられること
- 田舎ならではの強み、その地域ならではの強みを見つけること
- ビジネス設計をせずに始めてしまう
- 最初から大きく始めてしまう
- 起業後も地域に馴染まない
- 移動販売
- 飲食店経営
- 自宅サロン経営
- IT関係
- 農業
田舎起業はアイデアとやり方次第でまだまだ進化していける事業になります。
田舎のイメージとして「少子高齢」「過疎化」などと言われてしまいますが、考え方次第で無限に可能性のあるフィールドになります。
アイデアと行動力のある人にとって田舎はやりがいの持てる仕事が出来るのではないでしょうか。
ぜひ、我こそはと思う人は移住・田舎起業に腰をあげてみてください。